第5章 色変わりの刀と初任務
ようやく3人のやり取りが終わり、更紗の顔色が元に戻った頃、玄関から聞きなれない声がした。
「ごめんください。刀鍛冶の里から参りました、鉄穴森鋼蔵と申します。月神更紗さんの日輪刀をお持ちしました」
その声に反応して、杏寿郎は更紗を伴って立ち上がった。
「更紗、お迎えにあがろう」
更紗は頷いて杏寿郎の後をついて行く。
玄関で礼儀正しく待つ男性は……なぜかひょっとこのお面を付けている。
だが今はそれを付けている理由を聞いていい雰囲気では無いので更紗は気になりつつもグッと抑える。
「お待ちしてました。鉄穴森さん」
「これは炎柱様、お元気そうで何よりです。そちらのお嬢さんが月神更紗さんですか?」
ひょっとこのお面を外さないまま覗き込まれたので、更紗は少し驚くも挨拶をする事にした。
「初めまして、鉄穴森様。私が月神更紗です。この度は日輪刀の製作、運搬、誠にありがとうございます」
不思議なものでお面をつけているのにフッと穏やかに笑ったように感じた。