第5章 色変わりの刀と初任務

杏寿郎が自信満々に答える。

「そうやって面白がるから話さなかった！！ちなみに父上も千寿郎も更紗が嫁いでくる事に大賛成だ！それゆえ悪ノリで更紗に触れるならば流血沙汰もやむ無しと思っている！」

顔が笑っていない。
本気で流血沙汰もやむ無しと思っているのだろう。
だが、そんな事は天元からすればどうでもいい事のようで、頭を抱えてしゃがみ込んだ。

「んだよ！！からかえる奴いなくなっちまったじゃねぇか！！あぁぁ！面白くねぇ！！」

その天元の様子にようやく杏寿郎は満足げな笑顔になる。
そして顔を真っ赤にしている更紗の顔を隠すように胸元へ向けさせ両腕で抱き締め、更紗を見るように俯く。

「俺をからかうのは構わない。だが、更紗を使ってからかうのはやめてくれないか」

本当に更紗の事が愛おしくて失いたくなくて大切で仕方ないと言う表情を杏寿郎がするものだから、天元は毒気を抜かれてしまった。

「千寿郎、あれは本当にお前の兄貴か？」

千寿郎は2人の様子を見るも、嬉しそうに答える。

「更紗さんだけに向けられる兄上の姿です。僕は2人が幸せそうですごく嬉しいです！」