第5章 色変わりの刀と初任務
なんだか機嫌が悪そうなのだ。
「杏寿郎さん、怒ってますか?」
「安心しろ!更紗には怒っていない!」
天元は杏寿郎の表情を見て何か察したのか、いつも通りの悪ノリで更紗の肩に腕を回す。
「姫さん、コイツ俺に怒ってんの。あれだ、他の男に姫さんが触れられるのが派手に不愉快なんだろ」
「そうだが?!悪いが俺の許嫁に気安く触らないで貰えるだろうか!!」
「はいはい、許嫁……え?何?なんて言った?」
杏寿郎はいまだに更紗の肩に回されている天元の腕を振り払って、更紗を自分の胸元へと抱き寄せる。
「更紗は俺の許嫁だ!気安く触らないでもらおう!」
天元の時間が止まった。
腕を振り払われた事も気にならないくらいに呆然としている。
「宇髄様、兄上と更紗さんは最終選別直後に婚約したのです」
千寿郎の言葉から数秒後
「はぁぁぁあ?!何それ、俺聞かされてねぇ!!なんなのお前!!あんだけ純愛育んでたのに、いきなり許嫁だと!何でそんな派手に面白ぇ話し黙ってんだよ?!」