第5章 色変わりの刀と初任務
ところ変わって、更紗はようやくまとも丈の隊服を着ることが出来てホッとしていた。
「良かったです!これなら外も歩けます。それに、動きやすいように着物の丈も少し短くしてくださってる」
更紗は嬉しそうに着物から羽織へと変貌をとげた杏寿郎からの贈り物の襟元を両手に、口元にあてている。
「更紗、入ってもいいか?」
「はい、もちろんです!」
その返事を聞いて杏寿郎は先程とはうってかわって静かに襖を開けてはいってきた。
「いかがでしょうか?おかしいところはありませんか?」
クルリと無邪気に一回りする更紗に笑顔を向ける。
「よく似合っている!どこの誰よりも愛らしい!」
ただの洋風な隊服に、華やかな羽織を羽織っているだけである。
他の剣士でも同じような格好をしている者もいて見慣れているはずだが、本当に今まで見向きもしていなかったらしい。
「それほどではありませんよ。でも似合っているなら良かったです!それにしても、これは天元様が持ってきてくださったのですか?杏寿郎さんの怒る声に紛れて天元様の声が聞こえたように思うのですが」