第5章 色変わりの刀と初任務
それから10日ほどたち、杏寿郎の手元に修繕を願っていた着物、袴、幅の調整を依頼していた更紗の隊服が届いた。
隊服に関しては杏寿郎と同じ作りのものだったが、更紗の細身の体には大きかったので詰めてもらっていたのだ。
「更紗、千寿郎、ついに更紗の着物一式と隊服が届いたぞ!」
居間で茶をしていた2人は杏寿郎の声に弾かれたように立ち上がり、杏寿郎のそばへ寄ってきた。
「兄上!早速、更紗さんに着ていただいてお披露目してもらいましょう!」
「落ち着け、千寿郎!さぁ、更紗!部屋で着替えてくるんだ!」
更紗も喜んで杏寿郎に駆け寄ったが、2人の喜びようの方が上回り喜ぶ機会を失ってしまった。
ズイと差し出され、2人の顔を見ると全力で楽しみにしている事が伝わり、思わず笑顔になる。
「はい!すぐに着替えてまいりますので、しばらくお待ちください!」
着物一式と隊服を大切そうにそっと抱えて自分の部屋へ急いだ。
いそいそと着物を脱ぎ、隊服を手に取り着替えを進めていくも、途中で様子がおかしいと感じ始めた。
隊服の下は袴の幅を狭めたズボンなるものだったはずだ。
だがどう見てもズボンではなく、女性用の袴をとびきり短くしたスカートと呼ばれるものに変わっている。
足袋も長い丈の靴下である。