第5章 色変わりの刀と初任務
そんな杏寿郎を見て槇寿郎はイライラを募らせていく。
このままでは爆発すると直感で理解した杏寿郎は頭を全力で回転させ問い掛ける。
「祝言の日取りは更紗の両親の事もありますので、おそらく更紗が1人前になってからになると思われますが……父上は婚姻関係を許可下さるのですか?」
「許可せずに祝言の日取りを聞く馬鹿がどこにおるか?!」
((えぇーー……))
2人は図らずしも心の中で同じ事を呟いていた。
更紗は恐る恐る顔を上げ当主の顔を見ると、杏寿郎に向けていた厳しい顔をこちらに向けていなかった。
「ご当主様、私がこちらにお嫁入りしても……お嫌でございませんか?その……私はなんと言いますか人外の力を持っておりますので……」
(更紗!言い方がマズイぞ!!)
杏寿郎が隣りで冷や汗をかくも、槇寿郎の顔を見て問題なかったと安堵した。
槇寿郎は更紗の頭に手を置き穏やかな笑顔で撫でてやっていたのだ。
「勝手に聞くのは悪いと思ったが、そなたの力や両親の事、ここの家に来た経緯など、全て杏寿郎と千寿郎から聞いている。その齢でよく今まで耐えてきたな」