第2章 追い風
更紗はヒュッと息を呑む。
(だとすれば、私がお世話になると厄介事に巻き込まれるのでは?)
無一文の更紗にとっては、本当にありがたい話である。
屋根のある家で眠らせてもらえるのだ。
更には稽古もつけてくれ、自分を守る術も教えて貰える。
意を決したのか、1度ギュッと唇を引き結んでから口をしっかり動かし声を出した。
「あ……あの」
「ん?なんでも聞きなさい」
「私がお世話になって、煉獄様や御家族の方のご迷惑にはならないのでしょうか?その……私が稀血と言うものであれば、鬼を引き寄せてしまうと思うのです」
煉獄は合点がいった。
あぁ、そういう事で悩んでいたのか、と。
更紗には鬼殺隊の事を詳しくは話していない。
話してしまう事によって、鬼殺隊全体、更紗自身、双方に不都合が生じてはいけないからだ。
「でも、煉獄様達が許してくださるのであれば、私はせめて自分の身は自分で守れるようになりたいです。出来るならば煉獄様やあの方に今日守ってもらった分、誰かを守って助けたいです。怪我をして苦しんでいる人がいれば、私の力で痛みを取り除きたいです!」
いきなり捲し立てるように話すものだから、更紗の頬は紅潮し少し息切れしている。