第4章 鍛錬と最終選別
怒っていないと言ってもらい安心するも、更紗は着物が破れた事を特に気に病んでいた。
「ありがとうございます。私、実は杏寿郎さんがせっかく見繕ってくれたので着物を杏寿郎さんや胡蝶様のように、隊服の上から着たかったのです……あ!裁縫は得意ではありませんが、破れた部分を繕って着ることにします!」
杏寿郎は目を丸くするも、すぐに笑顔になり更紗の頬に手を当てる。
「そこまで大切にしてくれるならば、隠の方に修繕を願おう。将来煉獄家へ嫁ぐ女性の羽織が、明らかに繕われた跡のあるものだと周りから何を言われるか分からんからな」
(特に宇髄だ!)
と心の中で叫ぶも、それは更紗には伝えない。
だが、更紗の頭の中はそれどころではない。
(嫁ぐ?!え、私をお嫁さんにしてくださるのですか?!聞きたいけど……なんだか聞くのが恥ずかしい……)
1人で百面相を繰り広げている更紗がどこでそうなったのか瞬時に理解できた杏寿郎に、再び加虐心が生まれてしまう。
頬に手を当てたままもう片方の手で更紗の体を自分の方へ引き、唇が触れそうなほど近くへ寄せる。