第4章 鍛錬と最終選別
「俺は将来嫁いで欲しいと思って先程の話を話したのだが……よもや嫌とは言わせないぞ」
更紗の頭の中に杏寿郎の言葉は確実に入っているのだが、それをこの状況で理解出来るかはまた別の話であって……
顔を真っ赤にしてもがいてみるも、腕でガッチリ押さえられているのでピクリとも動かない。
(きゃあーー!近いです!近いですっ!!)
何を考えているか手に取るように分かってしまい、更に杏寿郎の加虐心は加速する。
「父上も千寿郎もこの部屋には入らないように言っている。せっかくだ、このまま押し倒そうか?そうすれば逃げないでいてくれるか?」
更紗は真っ赤な顔のままだが、ピタリと抵抗を止めてすぐ近くにある炎のような瞳を見つめる。
「お、押し倒しても押し倒さなくても、私はずっと杏寿郎さんのそばを離れません。杏、寿郎さんは、そうすればずっと私のそばにいてくださるのですか?」
まさかの質問返しに今度は杏寿郎が悶絶する。
(相変わらず俺のタガを外そうとしてくれるな……反則だ)
杏寿郎は必死に理性を働かせ、せめてこれくらいは……と軽く更紗の唇に自分の唇を重ね合わせた。