第4章 鍛錬と最終選別
「もう後少し会えるのが遅ければ、おそらく私は寂しくて死んでいました」
杏寿郎は更紗の言葉に苦笑した。
「それは困るな!死んでしまう前に会えて本当によかった」
もう我慢する必要はなくなったので、杏寿郎は今まで我慢していた分を補うかのように更紗を思う存分抱き締める。
初めこそ拒まれたらどうしようかと不安に思っていたが、その様子も全く見せないので好きにさせてもらっているようだ。
「フフッ、見つけてくださってありがとうございます。あの、杏寿郎さん、もう1つお聞きしたいことがあるのですが、聞いてもよろしいでしょうか?」
「ん?構わないが」
「最終選別の後に伝えたい事、ここで聞いても問題ないでしょうか?」
杏寿郎は一瞬固まるが、すぐに答えてくれる。
「あぁ、更紗が聞いてくれるのならば、ここで伝えても構わない。その後に君の伝えたいと言っていた事も教えてくれるか?」
更紗は恥ずかしそうに視線をさ迷わせたが、杏寿郎に視線を戻すと小さく頷いた。
杏寿郎は1度深呼吸をして、ここ数ヶ月ずっと伝えたかった想いを更紗にうちあけた。