第4章 鍛錬と最終選別
「あぁ!!よく戻ってきてくれた!本当に良かった!!この一週間、生きた心地がしなかった!!」
杏寿郎は子供のように泣く更紗を優しく抱き締め、ずっと背中をさすってやっている。
それでも最終選別の恐怖と、疲労から解放された安心感からなかなか更紗は泣きやめずにいる。
それでも辛抱強くずっと抱き締め続けていた。
ようやく泣き止んだ頃にはすっかり日は昇り、人々が活動を始める時間となっていた。
しかし2人はあの場所から少し移動した草むらに座っているので、周りに人の気配はないままだ。
泣き止んだもののまだグズグズ言っている更紗を、杏寿郎は横抱きにして膝の上に乗せ軽く抱き寄せ落ち着くまで待ってやっている。
泣き過ぎて鼻声になっているが、更紗は杏寿郎に話しかける。
「杏寿郎さん、先程まで任務だと思っていたのですが、わざわざここまで迎えに来てくださったのですか?」
目を涙で潤ませ見上げてくる更紗に杏寿郎は優しく笑顔を向けて答えた。
「わざわざではない。俺が迎えに来たくて、ここまで勝手に来たんだ」
それがことのほか嬉しく、更紗はギュッと杏寿郎の胸元の隊服を掴み顔をうずめた。