第4章 鍛錬と最終選別
あと数分で朝日が拝めるという時に限って鬼に見つかってしまった。
更紗は木から飛び降り、折れた刀で必死に応戦するも半分の長さだと上手く扱えない。
「諦めテ、俺に喰われろ!」
「いや!死にたくない!!」
無情にも鬼の爪が更紗の首にかかる瞬間、雷が堕ちるような音がしたかと思うと小さく声が聞こえた。
「雷の呼吸 壱ノ型 霹靂一閃!」
聞こえ終わる頃には鬼の頸は斬られていて、頭が地面に転がり塵と化していく所であった。
声のした方を見ると、受験者の中にいた黄色い髪の男の子が目を瞑ったまま立っている。
「ありがとうございます。お陰様で命がたすかりました」
声をかけるも反応がない。
(眠ってる??)
確認する間もなく、黄色い髪の少年は再び技を放ち更紗の前からまるで消えたかのようにいなくなってしまった。
「お名前、聞けませんでした。またお会いした時にお礼を言わなくては!」
こうして、ようやく長い1週間が終わりを迎え、2人の少年に助けられながらも無事に生き残り、あの藤が咲き乱れる最終選別が開始された場所へと、荷物を回収して向かっていった。