第4章 鍛錬と最終選別
それを躱されるのも計算済みだったので、焦らずに次の技を距離を開けて放つ。
(お願い!成功して下さい!)
「炎の呼吸 伍ノ型 炎虎!!」
発動すると、杏寿郎ほどの威力は出ていないが、十分に痛手を負わすことが出来た。
この技を初めてした時、勢いが足りなかったのか体の運び方が悪かったのか、炎虎どころか炎猫ほどの威力しか出なかった。
刀が
ニャーン
と鳴いているように見え、さすがの杏寿郎も必死に笑いを堪えるほどであった。
だが、どうにか発動に成功し、再び後ろに飛び距離をあけ間髪入れずに次の技を発動させる。
「炎の呼吸 壱ノ型 不知火!!」
鬼が回復に手間取っている隙に、今までより硬い頸に力を込めて刃を振るう。
鬼も最後の抵抗で刀を掴むも、更紗の技の勢いと力が僅かに勝り無事に鬼の頸を落とすことに成功した。
だが、ついに限界を迎えた刀が半分程の所で真っ二つに折れてしまった。
「ウソ……あと少しなのに!!」
泣いても喚いても刀が戻ることはない。
折れた刃先を鞘に入れてその上から柄の部分を差し込み、鬼に見つかりにくいよう木の上の枝に腰を下ろし青々と茂る葉の陰に隠れるように身を縮こませた。