第4章 鍛錬と最終選別
ようやく7日目の夜となった。
あと一刻もせず夜は明けるが、更紗は見つけてしまった。
受験者と思われる人間が喰い荒らされた後を……
「うぐっ……!!」
胃から食べたものが逆流してくるが、吐き出すわけにはいかない。
食事は自分の命を繋ぐ大切な物だ。
必死に押し戻し、その場を離れて調達しておいた水を流し込む。
「ハァハァ……あんなに惨いことを!!この近くにあの人を殺した鬼がいるはず……警戒しなくては……」
開けた場所で最後の力を振り絞り、周囲全体を警戒する。
数分程そうしていると、思っていた通り受験者を喰い殺したと思われる鬼が姿を現した。
その鬼は明らかに今までの鬼と違い、人よりも大きな体躯をしている。
「今回も豊作だった!お前で4人目だ、しかも稀血の女!すぐに喰ってやる!!」
大きな体躯に似合わず、素早くこちらに迫ってくる。
(受検者を食べて強くなってる?!)
だが、倒さなければ自分も先程の受験者と同じ末路を辿ることになる。
杏寿郎と約束したのだ、必ず帰ると。
「死ぬ訳にはいかない!!」
空気を目いっぱい吸い込み、威嚇も込めて技を放つ。
「炎の呼吸 弐ノ型 昇り炎天」