第4章 鍛錬と最終選別
藤襲山に入って5日目の夜、更紗は寝不足と疲労に悩まされていた。
先日、一日中雨が降り太陽が顔を出さず、休む間もなく今も尚鬼が更紗を襲ってきているからだ。
「炎の呼吸 参ノ型 気炎万象!」
この技も何度奮ったのかも分からない。
迫り来る鬼にひたすら刀を振るい、技を発動させ、頸を斬り落とす。
すでに刀を握る手に力は残っていない。
傷の手当用の包帯で刀と手を結び、刀が落ちないようにしている。
「更紗?!おーい!更紗、日が昇るまで一緒に闘わないか??」
そこへ炭治郎が更紗を見つけ走りよって来た。
更紗としては願ってもない申し出だが、自分は稀血なので無駄に炭治郎を危険に晒してしまうかもしれない。
「炭治郎さん、私は鬼を惹き付けてしまいます。恐らく炭治郎さん、お1人でいられた方が安全かと思います」
更紗の言葉に炭治郎が悲しげに眉を寄せる。
「でも、このままだと更紗が倒れてしまうぞ?俺はまだ大丈夫だから、共に闘おう!」
思わず更紗の目から涙がこぼれ落ちる。
それを見た炭治郎は慌ててしまい、どうしようかとアタフタしている。