第4章 鍛錬と最終選別
「炎の呼吸 肆ノ型 盛炎のうねり」
炎が渦巻くように刀を振るい広範囲に攻撃を発動させる。
その技は一体の頸を斬り落とし、残った一体の手足も斬り落とした。
だが頸を斬り落とさなければ鬼は死なないので、素早く間合いを詰め恨み言を吐き続ける鬼の頸を躊躇なく斬り落とした。
(すみません……来世ではあなた方に幸せな人生がある事を祈っています)
塵と化していく2体の鬼を見送り、更紗は東の高い場所を目指す。
その途中、とてつもなく禍々しい気配を感じそちらへ向かう。
そこにはここに閉じ込められているとは思えない程の、巨大な鬼の頸を斬り落とさんとしている、あの狐の面を付けていた男の子がいた。
頸を見事に斬り落としたその少年は、斬り落とし塵と化していく鬼の手を取り祈るように握りしめていた。
「あの子は……本当に優しい子です」
そうして鬼が消えてしまい、歩き出そうとしたその少年に声を掛ける。
「あの、すみません!少しお待ちください」
優しさが色濃く映るその少年の目は驚きに目を開き、更紗を見つめる。
「君は……受験者の一人だね。あの中で誰よりも優しい匂いがしたからよく覚えている」