第4章 鍛錬と最終選別
「まずは東に向かって、朝日が1番早く当たる場所、そして保存食を保管できる場所を探さなくては」
だが、現実的に考えて保存食を丁寧に保管するのは世が明けてからになるだろう。
辺りを見回しながら用心深く走っていると、視界の端に鈍く光る鋭い爪のようなものが掠めた。
すぐにそちらへ体を向けると、鬼が襲いかかって来るところであった。
更紗は鍔を弾き、刀を鞘から勢いよく抜き出し臨戦態勢をとる。
「お前、稀血ダな!久しぶりの人肉が稀血とハ、俺はついてる、なぁ!!」
爪が襲いかかって来るが、後ろに飛んで難なく躱す。
だが後ろにも気配を感じ、今度は横へ飛んで姿を確認する。
さっそく更紗の稀血の匂いに誘われて2体目の鬼がやって来てしまったのだ。
(2体同時……でも、杏寿郎さんと天元様から同時に攻撃されるよりは……全然大したことないです!)
思い出すだけで身震いのする鍛錬を反芻させる。
2体の鬼が自分を取り合いいざこざを起こしていたが、どうやら早い者勝ちとケリがついたのか一斉に襲いかかって来た。
(常に油断せず全力で)
杏寿郎に言われた言葉を心の中で唱え、技を繰り出す。