第4章 鍛錬と最終選別
杏寿郎が以前に教えてくれた通り、目的地である藤襲山には季節外れの藤の花が咲き乱れており、美しくも妖しげな雰囲気で更紗は素直に綺麗だと思えなかった。
そのまま歩き続けると、自分と同じ受験者と思われる20名ほどの少年少女がすでに集まっていた。
更紗は辺りを見回し、どんな人が来ているのかコッソリ確認してみた。
(狐の面を頭に付けた男の子、ガタガタと震えている黄色い髪の毛の男の子、お人形さんみたいに可愛らしい女の子……あとは目元がキリッとした男の子……色んな人がいます。全員、またここでお会い出来たらいいのに)
誰かに話し掛けられる雰囲気ではないので、更紗は静かに待つ事に決めた。
その場の全員が緊張した面持ちで待つ中、どこからともなく顔が恐ろしく整った幼子が2人出てきた。
(あら?あの子たちはお館様の御屋敷にいらした子でしょうか?1人は黒髪なので初めてお目にかかりますが……)
そんなことを考えていると、その2人が最終選別の説明を始めた。
それは杏寿郎が教えてくれた内容と全く同じものである。
この山の中で1週間生き残る事。そして山の中には鬼殺隊剣士が生け捕りにした鬼が沢山いる事だった。
そうして説明が終わると選別が開始された。
もう日が暮れているので、更紗は山に入って緊張感を途切れさせないまま、東へ向かって走り出した。