第4章 鍛錬と最終選別
どうにか更紗は平常心を保って2人に感付かれる事無く無事に夕餉を取り終え、自分の部屋で浴衣に着替え、袖が邪魔にならないようにたすき掛けをし、裾は腰の帯に挟み込む。
「杏寿郎さん、すみません!もうこれしか手は無いのです!」
通常ならば、はしたないと言われる格好も今はどうしようもない。
急ぎつつも足音を立てずにとある部屋の前に辿り着き、更紗は1度大きく深呼吸を行う。
そうして静かに引き戸を開け、更にその先にある引き戸の前に立ち尽くす。
(本当にすみません!後でお叱りはしっかり受けます!!)
そして意を決して引き戸を思いっきり開く。
「え?!更紗!!何して……ってまさか?!」
「すみません!私に捕まってください!!」
そうして更紗はとてつもなく焦る杏寿郎をしっかり見据え、杏寿郎に飛びついて行った。
「分かった!俺の負けだ!分かったからやめてく……ゴボゴボ」
バシャーン
と派手な水音を立てて風呂に浸かっていた杏寿郎に更紗は浴衣のまま飛び付き、無事に杏寿郎を捕まえる事に成功した。