第4章 鍛錬と最終選別
「命を狙われてるのか?!」
天元のこのような鍛錬を泣き言も言わずこなしていたのだから、更紗に杏寿郎は頭が下がる思いだ。
クナイを避けると、まるでそこに足が着くと分かっていたように新たな罠が発動して杏寿郎の手を絡め取ろうと縄がかするが、それも難なく避けてようやく玄関に辿り着く。
今までの罠を見回すと、本当に恐ろしい。
無数の石、数本のクナイ、糸やら縄が広い庭を所狭しと転がっている。
そして木の影から涙を堪える更紗の姿……
「杏寿郎さんー!1つくらい引っ掛かって下さいませ!」
走りよって来る更紗に嫌な予感がして身構えると案の定、杏寿郎が完璧に避けた罠を更紗は見事に発動させた。
「更紗!!」
石が更紗の頭を直撃する寸前で杏寿郎が更紗の両手を地面に押し付け、捕まらないようにして押し倒す。
「君は自分が張った場所を覚えていないのか?!死ぬぞ!」
そのままの格好で叱られる更紗は子供のように落ち込んでいる。
「申し訳ございません……次からは気をつけます」
(次もするつもりなのか?!俺より更紗が罠で死にそうだが?!)