第4章 鍛錬と最終選別
杏寿郎は正に汚泥を見るかのように天元を見る。
「君が女性をそんな風に扱っていたとは思いもしなんだ」
「ぁあ?!する訳ねぇだろ?!俺は嫁達を派手に大切にしてるからな!!俺はお前らはそれぐれぇしねぇと、進展しねぇって言ってんだよ!」
ようやく汚泥を見る目から普通に天元を見る。
そこには笑顔があった。
「心配かたじけない!だが、俺も男だ!さすがに決めたことは実行するし、更紗を振り向かせてみせる!」
ようやくいつもの杏寿郎の真っ直ぐな姿を見て、天元は嬉しそうに笑顔になった。
「そりゃあいい!姫さんがいてくれたから、煉獄と俺はこうやって話せる関係になった。ベッピンだし人を惹きつける不思議な空気をあの嬢ちゃんは持ってる!絶対手放すなよ?」
その言葉に、杏寿郎は当たり前だと言わんばかりに頷いた。
「言われるまでもない!俺が添い遂げるのは更紗だけだ!」
とそこへ小走りに廊下を走ってくる足音が聞こえた。
足運びを考えると着物に着替えた更紗だろう。
「ご心配をおかけしました!もう回復しましたので、私も千寿郎さんと一緒にご飯の準備をします。お2人はゆっくりくつろいでお待ちください」
いつもの着物に着替えた更紗を2人で見送り、天元は杏寿郎にとどめを刺す。
「知ってっか?曼珠沙華の花言葉の1つに、『想うはあなた1人』ってあるの」
「なんと?!」
こうして穏やかに時は過ぎていった。