第4章 鍛錬と最終選別
「私は何があっても杏寿郎さんのそばを離れません。天元様のお誘いは嬉しく思いますが、私は杏寿郎さんでないと駄目なのです」
そう言って殺意を撒き散らしていた杏寿郎の腕にソッと自分の手を添えた。
「私の師範は杏寿郎さんだけです」
ニコッと微笑まれた杏寿郎は頭を抱えてその場に座り込んだ。
それを見た天元は抑えることなく、腹を抱えて笑いだした。
「アハハッ!!いや、もう派手に姫さんには適わねぇ!!俺も煉獄も勝てる気がしねぇわ!ブハッ!!ちょっ!腹痛てぇ!!」
なぜ笑われているのか分からない更紗は困ったように目尻を下げ、杏寿郎は恨めしそうな目で天元を睨みつける。
「宇髄、いい加減にしろ!更紗に手を出してまで遊ぶのは良くない事だ!」
ヒィヒィ笑いながら天元は答える。
「悪ぃ悪ぃ!そんなつもりしかなかったわ!で、それはもう派手に横に置いといて」
天元はいきなり真剣な顔付きになる。
杏寿郎は呆れつつも何か伝えたい事があるのだと察し、立ち上がって天元を見上げる。
「なんだ?何か分かったのか?」
「あぁ、ここに来たのはそれが本命。いきなりで悪いが、今日泊めてくれや」