第4章 鍛錬と最終選別
「ふむ……初めてにしては上出来だ!次は体の重心をしっかり意識して、足の筋肉を」
と言いながら杏寿郎は更紗へと熱心に技の伝授を続ける。
もちろん天元はそれを眺めて待つしか出来ないので、自然と考え込む事となる。
(姫さんの技、見た感じは炎の呼吸だが……煉獄の炎の呼吸とは派手に違う。まぁ威力が上がれば煉獄の炎に近付きそうだが、後を継ぐ事は出来ねぇだろうな。根本が違う気がする)
杏寿郎もそれには気付いているだろう。
だが、それを悲観するでもなく嬉嬉として更紗を育て導いている。
ただただ更紗の願いを叶えるため、鬼との戦闘で命を落とさぬ為に。
(まぁ、本人が構わねぇなら問題ないか。それにしても煉獄は派生を生み出す天才かよ。甘露寺に続き姫さんまで派生とは……)
ボーッとそんなことを考えると、ようやく杏寿郎から声が掛かった。
「宇髄、一応形になったぞ!これに持ち替えて更紗の相手を頼む!」
そう言って杏寿郎は木刀をご丁寧に手渡してきた。
天元は持っていた武器を傍らに置き、それを受け取る。
「待ちくたびれたぜ!んじゃいっちょ、姫さんと派手に打ち合うか!準備はいいか?!姫さん!」