第4章 鍛錬と最終選別
更紗も刀から木刀に持ち替え、しっかりと天元を見据えている。
「はい!よろしくお願いします!」
向かい合って杏寿郎の合図を待つ間、更紗は緊張し心臓は激しく胸を打ち付けている。
(落ち着いて……杏寿郎さんの日々の鍛錬を思い出して……)
「始め!」
その合図で2人は動き出した。
更紗は間合いを詰め、天元が飛び道具を使わないようにする。
(今の状況で飛び道具が出てくれば間違いなく負けてしまう!)
そんな更紗を余裕の表情で天元は迎え撃っている。
「間合いを詰めるだけじゃあ、技の鍛錬になんねぇぞ!近距離で放つ技を派手にかましてみやがれ!」
そう言われても、隙がない天元の攻撃に手一杯で技が出せないでいる。
「鬼は俺達に手加減なんてしてくれねぇ!常に殺す気で向かってきやがる!そのままじゃあ、姫さんは確実に死ぬぞ」
笑顔から一変、天元は真顔で更紗に一気に近付くと勢いよく木刀を薙ぎ払い、更紗を後方へ弾き飛ばす。
かろうじて更紗は転倒せずに踏みとどまり、ここぞとばかりに型の構えをとる。
「炎の呼吸 壱ノ型 不知火」