第4章 鍛錬と最終選別
「お任せ下さい、兄上!兄上が留守の間やそばに居られない時は僕が更紗さんを守ってみせます!兄上は心配なさらず、任務を全うして下さい!では、僕は更紗さんと朝餉の用意をして参ります!お時間ありがとうございました!」
そう言ってペコリと頭を下げると、杏寿郎の返事も聞かず庭を走り去って行った。
「……うむ!心強い弟だ!」
杏寿郎は笑顔で千寿郎の背を見送ると、中断していた鍛錬を再開した。
鬼気迫るあの表情で。
それから、数週間は更紗にとって厳しくとも穏やかな日々が流れていった。
そんな日々はある男の来訪によって妨げられる事となる。
「おっす!煉獄、姫さん!!久しぶりに天元様が派手に来てやったぞ!!」
言わずと知れた派手好きな音柱、宇髄天元である。
そんな男は、杏寿郎が山で今から炎の呼吸の技を更紗に教えようとしている絶妙なタイミングで現れた。
「宇髄、君はこの時を狙って来ているのか?」
呆れ気味な杏寿郎に天元は笑いながら答える。
「どうだろうな?だが、壱ノ型を派手にやってのけた姫さんの技を見たいと思って来たのは確かだ!」
つまり、どこからか情報を仕入れ、この時を見計らって訪れたのは間違いないようだ。