第4章 鍛錬と最終選別
しかし更紗は珍しそうに天元を見つめている。
「天元様……で間違いございませんよね?」
そう更紗が言うのも仕方のない事なのだ。
声や恵まれた体や顔付きは天元に間違いないが、綺麗な石が連なった額当て、結い上げられた髪、顔に派手な化粧を施した姿で現れたからだ。
今まで更紗の前に現れる時は隊服であっても化粧はおろか額当てもせず髪も結い上げてはいなかった。
「更紗、むしろこっちが宇髄の標準だ!任務帰りか……それとも更紗の技を受ける為にやって来たかだな!」
杏寿郎の言葉に天元はニヤリと笑う。
「分かってんじゃねぇか!俺様が姫さんの技を派手に受けてやろうと、わざわざ出向いてやったって訳だ!!」
杏寿郎は明後日の方向を見ながら思案するも自分以外を相手にする事はいい経験になると思い、天元の申し入れを承諾した。
「分かった!では宇髄相手に更紗、本気でやってみろ!」
「ほ、本気でですか?あの、怪我とか」
ブハッと天元から吹き出す声がして、更紗は杏寿郎から天元へと視線をうつした。