第4章 鍛錬と最終選別
「千寿郎が剣士ではない事は更紗に言ったから知っている」
「それでは…… 更紗さんはどう言われましたか?やはり……」
情けないと言われましたか?
と続ける事は出来なかった。
更紗がそんな事を言わないとは分かっているが、自分自身でずっと思い続けているので、ついそう思ってしまう。
杏寿郎は千寿郎の肩に手を置き諭すように言う。
「千寿郎、更紗は鬼殺隊剣士として闘う者と同じくらい、それを支える者は強い心を持っている。支える側も共に闘っているのだと言っていた」
千寿郎は驚いたように杏寿郎の目を見つめ返す。
鬼殺隊と数ヶ月前までなんの縁もなかった少女の言葉に驚いているようだ。
「そんな事を仰られていたのですか?」
千寿郎の問いかけに杏寿郎は1度大きく頷く。
「ああ。それと前にお前は更紗を大の男から守っていただろう?その姿を見て、誰かを守れる強い方だとも言っていた。いつも笑顔で優しく、誰かを守れる強い男だと言っていた」
杏寿郎は千寿郎に自分の継子になれない事に負い目に感じて欲しくはなかった。
だが煉獄家が代々、炎の呼吸を受け継いで来たと言う事実が千寿郎の心をそこに繋ぎ止めてしまっていたのだ。