第4章 鍛錬と最終選別
羞恥から瞳を少し潤ませ、眉を八の字に曲げ俯いてしまった。
(あとは自分に自信がつけば完璧だが……それはこれから徐々にだな!)
「いや!俺が1人で対処出来たとしても、それで更紗が成長する糧となったのならば、師範として喜ばしい事だ!」
杏寿郎の本当に喜んでいると分かる言葉と声音に、更紗は顔を上げ照れながらも嬉しそうにフニャッと笑う。
その笑顔に、いつもの明朗快活な笑顔から少し穏やかな表情となった。
「さぁ、後片付けをして今日は休むぞ!明日は俺の鍛錬はないが、基礎鍛錬はしておくように」
杏寿郎は皿をあっと言う間に一纏めにして立ち上がる。
「杏寿郎さん!私がしますので、先にお休み下さい。明日、お勤めがありますよね?」
それを横から更紗がとり、台所へ運ぶ。
あまりの素早さに油断していた杏寿郎は、つい先程まで皿のあった自分の手を見つめる。
「では頼む事にする!」
「はい、お任せ下さい」
短いやり取りを終え、杏寿郎は顔を洗った後、自分の部屋へ戻って行った。
(ふむ……それにしても剣士でもない更紗を任務に同行させるとはどういった真意があったのか……これからも同行させるのか確認をとらねば)
そう思いながら、杏寿郎は任務の完了報告を行っているであろう鎹鴉の帰りを待った。