第4章 鍛錬と最終選別
1度言葉を切り、更紗は笑顔になる。
「ですから、それで私の千寿郎さんに対する感情も言動も変わることはありえません。いつも笑顔で優しく、誰かを守れる強い方です」
ね?っと言うように首を横へ倒す。
「うむ!全くその通りだ!我が家にやってきたのが更紗でよかった。人の心の痛みを知れる君だからこそ千寿郎の心の中で葛藤があったとしても、君が技を使えたことを素直に喜べたのだろう」
そう言われ更紗は先程の千寿郎の顔を思い出してみる。
本当に曇りのない純粋な笑顔だった。
自分が同じ状況、同じ立場だったならばこうも人の事を祝福出来るものだろうか……と感じるほどの笑顔だ。
「そう……だといいと私も思います。妹弟子として、きっちり鍛錬を頑張りますので、これからもよろしくお願いします」
更紗が自分を卑下するような言葉を使わずに頭を下げる姿を見て、杏寿郎はまるで親が子の成長を喜ぶように感慨深さを感じていた。
だがまだ話したいことがあるので、仕方なく現実へ戻る。
「任せろ!ところで俺はまだ呼吸の技を教えていなかったが、なぜ君は技を放つことが出来たんだ?指南書を読んだのか?」