第4章 鍛錬と最終選別
「千寿郎の事だが、あの子は恐らくこの先、どんなに努力をしても鬼殺隊剣士にはなれないのだ」
杏寿郎は真剣な表情を更紗に向けている。
「あの、それは駄目な事なのですか?」
「え?」
「鬼殺隊剣士だから素晴らしいとは限りませんよね?千寿郎さんは前に私を庇ってくださいましたが、剣士であっても千寿郎さんと同じ事が出来る人って多くないと思います」
杏寿郎は呆気にとられた顔をしているが、
参った……と小さく呟いてようやくいつもの穏やかな笑顔を浮かべた。
「すまない、試すつもりはなかったのだが、千寿郎が人一倍剣士になれない事を気に病んでいるもので身構えてしまっていた」
杏寿郎の言葉にフルフルと首を左右に振る。
「お気になさらないでください!私、思うんです。鬼殺隊として最前線で鬼と闘うことはすごく大変ですが、最前線で闘う人を支える人も同じくらい大変だなって……生きて帰るのを信じて待つって、鬼殺隊剣士と同じくらい精神力が強くなければ耐えられません。鬼殺隊剣士ではなくとも支える側も共に鬼と闘っているんだなって、最近、杏寿郎さんが任務に出られる度に思います」