第4章 鍛錬と最終選別
「父上がそこまで……そうか!任務について表立って心配していただくのが初めてだから、少し照れくさいが嬉しいものだな」
その杏寿郎の照れた笑顔に、更紗と千寿郎が顔を見合わせて笑った。
だが、千寿郎は何か思い出したかのようにハッとすると、先程の話題に戻した。
「更紗さん、お怪我はございませんか?!」
あまり女性の体を見回すことは千寿郎とて不本意であるが、それよりも心配が勝ったのだろう、血は着いていないだろうかと目を配らせている。
「ありがとうございます、千寿郎さん。私も、もちろん杏寿郎さんも怪我はございません」
ニコッと答えると、千寿郎は肩をなでおろしホッと息をついた。
「千寿郎、更紗は炎の呼吸の技を繰り出して、鬼を滅したのだ」
「え?!更紗さんがですか?!うわぁ!!凄いです!本当に更紗さんは凄いですね!」
今にも飛び上がらん勢いで、まるで自分のことように喜ぶ千寿郎に更紗はほんの少し居心地悪そうにモジモジと体を動かしている。
「でも、あまり記憶にありませんでして……突然の事で本当に私が技を出せたのか実感がないのです」