第26章 月と太陽
「お任せ下さい!では私はこの贈り物たちをお部屋に移動させてから……」
縁側に上がりお館様からの贈り物を更紗が持ち上げようと手を伸ばすと、横から杏寿郎がヒョイと軽々持ち上げてくれた。
「2人で移動させた方が早い。更紗はその……とんでもない大金を持ってきてもらえるか?どうするかは一先ず置いておき、金庫に入れておこう」
「ありがとうございます!……そうですね、今は取り敢えず使い道に関しては保留ということで。金庫に入れて後々考えていきましょう!今はまず道場の完全整備とお墓参りが先決ですし」
2人が並んで家の中に入って贈り物の保管を終わらせ、先決と話題に出ている墓参りの準備も行っていく。
その部屋には数え切れないほどの切り花が保管されており、それを目に入れた2人の瞳には悲しげな色が濃く浮かんだ。
今日の墓参りは棗を始めとした、今まで鬼殺隊に所属し命を賭けて尊い命を守った剣士や隠の墓に花を供えに行く。
お館様が代々管理してくださっているお墓の数は相当なもので、2人で花を供えるだけでほぼ一日かかるほどのものだ。
つまりあの決戦まででそれだけの隊士が命を落としたと言うことに繋がる。