第26章 月と太陽
炭治郎たちが離れを去りその静けさに慣れ始めた頃、とんでもない贈り物が届き、それを受け取った更紗は居間で中身を確認して固まっていた。
「受け取ってしまいました……どうしましょう。ひ、ひとまず杏寿郎君にお伝えしなくては……」
震える体をやっとの思いで動かし、道場にいる杏寿郎の元へと急ぐ。
「ど、どうしましょう……杏寿郎君!どうしましょう?!」
「何だ?!どうした、何があった?!」
主語も何もないただ慌てた声音に驚いた杏寿郎が、こちらも慌てて道場から姿を現し急いで更紗のそばに駆け寄り……固まった。
「お館様から……お断りしていたのにとんでもない大金と……祝言の際の紋付袴と白無垢が……」
更紗の両腕でどうにか抱えられてはいるが、少しつつけば地面に墜落しそうなほどの贈り物が目に映る。
常中を駆使して抱え上げていると言えど、それ以外は普通の女子である更紗に持たせたままと言うのは杏寿郎の中でありえない。
すかさず全ての贈り物を更紗の腕からすくい取り、居間へと続く縁側に未だに震えている体を伴っていった。
「すみません……グイグイと郵便の方にお渡し頂いたので断ることが出来ず……もしかして鬼殺隊の隊士の方だったのでしょうか?」