第26章 月と太陽
禰豆子の元気な返事を合図に2人は先を走る伊之助と引きずられる善逸を追いかけていたが、禰豆子が走りながら振り返り笑顔で手を振ってくれた。
「またねー!あ、祝言楽しみにしてます!」
可愛い禰豆子の笑顔に完全に伸された更紗はどうにか笑顔で手を振り返したものの、4人の姿が小さくなる頃には地面に蹲り……今は1人見悶えている。
「フフッ、更紗。君も見悶えることがあるのだな。さぁ……」
中へ入ろうと手を差し伸べたところで、更紗が禰豆子の余韻が残っている赤くなった顔を杏寿郎へと向けた。
「あります!私、人生で1番初めに身悶えた人は杏寿郎君ですよ?杏寿郎君の寝顔が可愛らしくて、今でもずっと見ていたくなっちゃいます!大好きなんです」
最近ではなりを潜めていた杏寿郎の考えの斜め上をいく返答に、つい見悶えうずくまりそうになるのを必死に堪え、緩み切った表情でどうにか更紗に手を差し伸べ直した。
「偶然だな!俺も身悶えたのは更紗が初めてだ!ほら、おいで。少しゆっくりして昼餉を食べよう。その後は……手合わせでもしてみるか?」
「それは光栄の至りです!昼餉にも手合わせにも断然力が入ります!行きましょう」
やはり肉体派の2人。
鬼殺隊が解散となってもそれは変わらない……これからの職は剣術道場に違いないだろう。