第26章 月と太陽
そうして禰豆子から体を離し、善逸と伊之助の手を握り締めた。
「お2人もお元気で……お2人の楽しげな声が聞けなくなるのはすごく寂しいです。またご飯を一緒に食べたり……ここには道場があるので、手合わせして下さいね」
ご飯を一緒に……までは善逸もニコニコと頷いていたが、手合わせと聞こえた瞬間に首の動きがピタリとやんだ。
どうやら手合わせはご遠慮願いたい様子である。
一方、伊之助はご飯よりも手合わせにすこぶるいい反応を示した。
「いつでも相手してやるぜ!次に手合わせする時は更紗にも兄貴にも負けねぇからな!よぉし、善逸!炭治郎の家着いたら早速勝負だ!行くぞ!」
「お前1人でやれよ!ちょ、はなせよ!ぎゃあああ!」
炭治郎の家を知らない伊之助にすごい勢いで善逸が引きずられて行ってしまった。
「ふむ!相変わらず我妻少年も嘴平少年も元気だな!いい事だ!」
「ぜ、善逸さんがお怪我しそうですよ!私、追い掛けて」
「大丈夫、俺が道すがら2人を捕まえるから!ごめんな、こんなバタバタな別れになって……また必ず遊びに来ます!煉獄さんも更紗もお元気で!行くぞ、禰豆子」
いつも背負って禰豆子にかけていた言葉を、今は手を繋いでかけている様子が眩しく、更紗と杏寿郎は緩やかに目を細めた。