第26章 月と太陽
そうして頭を上げると、お館様たち産屋敷一族から次々と労いの言葉をいただき皆が恐縮しているところに、更に恐縮させられる光景が目の前に広がった。
「身命を賭して……ーー」
その言葉をお館様の傍らに控えていた姉妹から紡ぎ出された時には軽く一族全員が頭を柱に向かって下げていた。
それだけでも胸が締め付けられるような痛みを催していたのに……
『産屋敷一同、感謝申し上げます』
ついに畳につくほどまで深く頭を下げた。
それを目にした途端、柱の数人が立ち上がって頭を上げてくださいと願い出し、ようやく全員が頭を上げてくれた。
更紗も更紗でどうすればいいのか分からず中腰になっていたが、隣りで腰を上げていた杏寿郎に促され戸惑いながらもその場に腰を落ち着ける。
その後はほんの少しだけ雑談を交わして、それが一段落着いたところで自然と全員が居住まいを正して産屋敷一族と柱が見つめ合い、ついにお館様から最後のお言葉を頂くこととなった。
「今日この時を持って鬼殺隊を解散する。どうか皆様、幸せな未来をお過ごしください」
鬼殺隊が役目を終え解散となったことは嬉しいはずなのに、更紗の瞳からは涙がとめどなく流れた。