第26章 月と太陽
どうにかお館様が到着される前に部屋へと辿り着き、全員から生温かい視線を頂戴しながら腰を落ち着けることが出来た。
どうやら既に更紗と杏寿郎がこの屋敷に到着していることは全員が想定済みだったようで、相談した結果蜜璃が迎えに赴いてくれたらしい。
(よかったです!いつも早めに到着していてて!……ん?今日に限っては早く到着し過ぎたから……いえ、それにしても皆さん相変わらずお優しいですね。わざわざ呼びに来てくださるなんて)
笑顔になったり困惑顔になったりせわしなく表情を変化させる更紗を、杏寿郎を含めた何人かが笑いを堪えながら眺めていると、静かに襖が開いてお館様が……産屋敷一族全員がお館様を先頭に部屋の中へと入って来た。
更紗は参加経験が浅いので驚きはしたものの比較的動揺は少なく済んでいたが、他の柱たちの驚きように更紗が身体をびくつかせたほどである。
その様子に産屋敷一族が頬を弛めながら、柱たちの前へとそれぞれが腰を落ち着けた。
「今から最後の柱合会議を始める」
聞き慣れた耀哉様より高いお館様の声が部屋に響くと、全員が頭を垂れて次に発せられる言葉を待った。