第26章 月と太陽
「ようやく杏寿郎や俺、千寿郎が更紗の無茶な行動に胃を煩わされずに毎日を過ごせる」
もちろん無事に戻ったことにも喜んでいたが、煉獄家の胃が煩わされることがなくなる事にも喜んでいたご様子。
ともあれ、いつもどれほど心配を掛けて居たのかを痛感した更紗は涙ながらに謝罪をして、これからは大人しく慎ましやかに生活していこうと決意したのは言うまでもない。
そして珠世と愈史郎。
2人は1匹の三毛猫を連れてお見舞いに来てくれた。
「この仔…茶々丸も鬼なんですよ」
と衝撃的な言葉が第一声だった。
人間に戻る薬は新たに作ることが可能とのこと。
しかしまだ先をどうするか決めていないようで、しばらくは現状を保って生活を行い、折を見て人間(猫)に戻るかを考えると言っていた。
あとは杏寿郎が教えてくれた事になるが、お館様……耀哉様、あまね様、2人のご息女も体に異常はなく今ではすっかり元気に毎日を過ごしている。
耀哉様は鬼舞辻が消滅したことにより、長年先祖代々背負ってきたしがらみから解放され、体から痛々しい痣のようなものは綺麗になくなり、経過は良好とのことだ。
そして本日、更紗と杏寿郎は柱として最後の務めを全うするため隊服と羽織に身を包み、新産屋敷邸の待合室で最終柱合会議が開始されるまで待機しているところである。