第4章 鍛錬と最終選別
杏寿郎は呆気にとられたが、先程技を発動した時の表情と今の更紗の表情があまりにもかけ離れていて笑いが込み上げてきた。
「ハハッ!君は本当に予想だにしないことをやってのける!ほら、こっちにおいで」
そう言って腕を差し出すと、更紗は這いずるようにしてそこへやってくる。
「本当にすみません……何が起こったのか何をしたのか、頭の中がついて行かなくて……考えすぎて手足にまで力が及びません……」
その言葉通り、手足に力が入っておらず抱えあげられた状態でダランと垂れ下がっていた。
「構わない!今手足に力が入らないのは技を使った影響だ!恥じることはない、誇れ!君は1人の力で鬼を滅殺したんだ!」
「……夢ではなかったのですね。まだ実感がわかなくて、夢の中にいる感覚です」
杏寿郎は夢ではないと実感させるため、ギュウッと抱きしめる。
「ほら、夢ではないだろう?このまま我が家へ帰る、落ちないように体幹だけ出来る限り維持していてくれ!」
コクンと頷く更紗に笑顔を向けると、ようやく家への帰路に着いた。
(今日は色々な事が起き過ぎて何が何だかですが……今日の朝より成長出来ていたらいいな……)
運んでもらいながらこっそりと思いを巡らす更紗であった。