第25章 決戦と喪失
「ふむ、ついに不死川が兄に昇格したか!彼らは楽しそうなので好きにさせておいて構わない!それより伊黒と……悲鳴嶼も君と話したいみたいだ」
「好きに……なんだか事が大きくなりそうな予感がしますが……伊黒様、悲鳴嶼様!お2人とも傷や足が元に戻っていて安心しました!なんだか治癒もおざなりになっていたように思っていまして……本当に良かったです」
ふわりと笑う更紗に2人は顔を見合わせて苦笑いをうかべる。
「君は本当に人の表情のみを見ているな。俺や悲鳴嶼さんの顔を見て何か気付かないのか?」
呆れられている訳ではなさそうだが、苦笑いや言葉の意味が上手く理解出来ず眉を寄せ……2人の顔をよく見て目を見開き驚いた。
「まぁ!お顔の傷がなくなっています!古傷……まで治癒出来なかったように思うのですが……私の治癒が要因ですか?」
頭に疑問符を浮かべる更紗を救うべく、今まで静かに成り行きを見守っていたしのぶが義勇を連れてひょこっと顔を出してくれる。
「更紗ちゃん、覚えていませんか?初めて血を媒体にした治癒を試した時、不死川さんにまで治癒が及んだ後の不死川さんの言葉」
もう随分前のことなので更紗の記憶の奥底に埋もれてしまっている。
うんうんと悩んでいると義勇が静かにポソリと呟いた。