第25章 決戦と喪失
「私が望んでした事です。私が望んで私が後悔しないようにした結果です。それは私の意思でした事ですので炭治郎さんが気に病むことは全くありません。ね、杏寿郎君」
どこかで聞いたことのある言い回しに杏寿郎は苦笑いを零し、胸元から解放して頭をくしゃりと撫でた。
「それで眠り姫になっていては元も子もないがな。竈門少年、我妻少年、嘴平少年!更紗は謝罪を望んで治癒したのではないんだ。ただ純粋に皆に生きていて欲しくて、悲しい想いをあれ以上増やしたくなかったんだ…… 更紗、改めて礼を言う。俺を含め多くの者の命を救ってくれてありがとう」
突然の礼に慌てた更紗が杏寿郎を見上げると、本当に突然杏寿郎の顔が近付いてきて唇が重なり合った。
何が起きたのか一瞬理解出来なかったが、我に返った更紗の顔は今も尚続く口付けにみるみる顔を赤くさせていく。
「……おい、いつまでしてんだ?誰も姫さん取らねぇからそこらへんでやめとけよ!姫さんぶっ倒れちまうぞ!」
目を見開き顔を真っ赤にする更紗に笑みを零し、ようやく唇を離したかと思えば……例の如く胸元に更紗の顔を誘ってしまった。