第25章 決戦と喪失
「夢でも見ているのかと思いました!皆さん、ご心配とご迷惑をおかけして申し訳ございませんでした。もう眠くありませんし、体も痛くなく……お腹は少し空いちゃいましたが、すごく元気です!皆さんもお元気そうで……嬉しくて幸せです」
ニコリと微笑み皆が落ち着いたところで、隙間を縫って皆より小柄な体が更紗の前へと到達しキュッと抱き着いてきた。
「更紗ちゃん!」
「ね、禰豆子さん!わぁ!元に戻れたんですね!本当に良かったです。出会った頃から変わらず、禰豆子さんは可愛らしいですね」
相変わらず動きの鈍い腕をどうにか動かし、抱き着いてきた体をたどたどしいながらも抱き締めると、共に杏寿郎の継子として鍛錬に励んできた3人が歩み寄ってきた。
「皆さん!ご無事で何よりです!炭治郎さん、目や腕は異常ないですか?途中から意識が朦朧としてきちんと確認出来なくて……機能していますか?鬼舞辻にも体を……」
「更紗のお陰で腕も目もこの通りだ!鬼舞辻は禰豆子や皆が呼び戻してくれて無事に戻れたんだよ。それより……ごめんな?俺の怪我も更紗が昏睡状態に陥った原因の1つに違いないから……」
杏寿郎と禰豆子に抱き締められながら、更紗はふわりと微笑んで炭治郎の左手を握った。