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月夜の軌跡【鬼滅の刃】

第25章 決戦と喪失


「では制御出来ずに皆さんを纏い続けていた膜は何だったのでしょう?あれは……やはり残りカスみたいなものですか?」

「また君はとんでもない例え方をするな……それについては、新しいモノが作れないのに古いモノが体内に残っているものだから、体が体内に残った僅かな力を異物だと判断し外へ追い出していたモノではないか?と言っていたぞ」

瀕死の状態の時、更紗は失ってはいけないものが体から流れ続けていると感じていた。
その時はてっきり自分の命が流れ出ているのだと思い込んでいたが、どうやら命ではなく長年共に歩んできた治癒の力だったらしい。

「そう……ですか。仕方の無いことですが……やはり少し寂しいものですね。鬼がいないのであれば惜しむ力ではないはずなのに……心にぽっかり穴が空いたように……感じます」

当たり前にあったものがある日突然なくなったのだ、それも鬼殺隊として活動する上で自身も多く助けられた力が無くなったとなれば、物悲しい気持ちになるのは仕方ないのかもしれない。

泣く必要はないと分かっていても……今の自分では埋めようのない寂しさから涙を流す更紗の頭を、杏寿郎は落ち着かせるようにゆっくりと撫でた。

「今は少し寂しいかもしれないが、その寂しさは俺が必ず埋めてやる。穴が空いてしまったところには、楽しく幸せな思い出をたくさん詰めていこう」
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