第25章 決戦と喪失
「……鬼舞辻がいるかいないかで答えが変わります。鬼舞辻を倒したのが夢だったのならば……辛くて辛くて立ち直れない……と思います。でも鬼舞辻を本当に倒せてたのならば……少し寂しいですが、普通の女の子でも構いません。鬼舞辻は本当にいなくなりましたか?」
「そうか。ならば少し寂しい気持ちには俺が寄り添うとしよう。鬼舞辻はもういない、人に害を成す鬼はこの世からいなくなった」
強ばっていた更紗の体から力が一気に抜け落ちていった。
鬼舞辻がいなくなったと知っていたものの、長い眠りについたことにより記憶が曖昧になってしまっていたのかもしれない。
安心したように大きく息を零した更紗に杏寿郎は小さく笑った。
「胡蝶も君の母上も力がなくなった詳細は分からんようだ。胡蝶の推測では、力を何度も無理に引き出して使った為に枯渇……というより治癒の力へ変換する糧は残っていたけれど、生成が追い付かず君が言っていた事とは意味合いは違うが、能力自体が焼き切れてしまったのではないか?との事だ」
決戦の最後の方は立て続けに栄養剤や造血薬を無理に打ち続け、体や能力自体に多大な負荷を掛けていたと更紗自身自覚があるので、詳細は分からなくてもしのぶの推測は妙に納得出来たが1つ疑問が残った。