第25章 決戦と喪失
あれから1ヶ月の月日が流れた。
鬼舞辻討伐後、衰弱しきっていた更紗と重傷を負った禰豆子、鬼舞辻に体や意識を乗っ取られていた炭治郎、そして一晩中激戦を繰り広げた柱や剣士たちは医者が待機してくれていた蝶屋敷へと運び込まれ各々が治療を受けた。
蝶屋敷に到着するまで更紗の膜に覆われていた者たちは傷などの目立った外傷はなく、1週間後には病床から解き放たれたのだが……多くはしのぶに眉をひそめられながらも居座っている。
「煉獄さんや炭治郎君たちは分かりますが……そろそろあなた方はお家に帰られてはいかがでしょうか?このままでは煉獄さんのご家族や更紗ちゃんのご家族がゆっくりお見舞いも出来ませんよ」
炭治郎の容態や禰豆子の傷も良くなり、あとは更紗の体調が……と言うより更紗が目を覚ますのを待つだけなのだが、1ヶ月経っても更紗は目を覚まさない。
初めの方は皆で
よく眠ってるなぁ
と笑顔で見舞いをしていたのに、来る日も来る日も……自分たちが病床から解放されてからも眠り続けるので、しのぶから心配ないと言われても心配が尽きず、元音柱を含めた柱全員が蝶屋敷で寝泊まりする事態に陥っているのだ。
「いやぁ……そうなんだがなぁ、妹のように可愛い姫さんが眠り姫になっちまったから心配でこっちはおちおち眠れやしねぇのよ。姫さんが目ぇ覚ましたら帰るから、な?」