第25章 決戦と喪失
鬼殺隊新本部の司令室内。
柱たちを瀕死たらしめた攻撃は鎹鴉を介して視界を共有していたお館様たちにも害をなしていた。
幼いながらもその痛みに抗い続けるお館様たちの体を支えている天元と槇寿郎は、複数の鎹鴉からもたらされた内の1つの情報に胸を激しく掻き立てられる。
「紫炎柱、血ノ治癒ヲ発動!剣士タチノ傷ハ癒エテオリマスガ……」
「更紗!宇髄、あの子があのまま治癒を続ければどうなる?!お前なら何か知っているのではないか?!」
「分かんねぇよ!そこまで文献には書かれてなかった!そもそも造血薬使ってまで力を使った先祖なんていねぇだろ!」
平安の時代から続く力であっても公に出されることのなかった力だ。
村内で厳重に秘匿とし、文献らしい文献も初めに見つけたものだけしか見つからず、今や更紗の母親である紗那も知っているのは文献に書かれていることのみである。
誰にもこれから更紗の身に起こることは分からない。
鬼舞辻を相手取る皆が命を吹き返す代わりに、誰よりも遅く柱となった少女の命の灯火が霞んでいく。
お館様はそれを良しとはせず、ある人物にそこへ向かうように指示を出した。