第25章 決戦と喪失
振り返り状況を確認したが、再びの凄惨な状況に目を疑った。
炭治郎が壁に鬼舞辻を張り付けにしているものの、片腕が吹き飛ばされており柱や継子たち全員も深い裂傷を負っていたり四肢が欠損している者もいる。
「更紗ちゃん、待って!さっきと同じことをしたら……」
炭治郎を助けに行きたくても更紗を放っていけば無理をすると分かっている蜜璃は、体を向こうへ向けながら顔は更紗へと向けて涙を滲ませていた。
心配してくれている蜜璃に、何度口にしたか覚えていないほど紡いだ言葉を笑顔で発した。
「私は死なないです。大丈夫、皆さんと共に鬼舞辻を足止めして下さい。あと一〇分で鬼舞辻を退治出来ますから」
更紗と蜜璃の視界には深く裂傷を負っても四肢を欠損させていても、鬼舞辻を足止めしようと動き出した人たちの姿が映り、蜜璃は一度ギュッと更紗を抱き締めてそちらへ足を向けた。
「さて、私はこれを終えたら体が動かなくなります。目を閉じる瞬間は杏寿郎君のお顔が見れたらいいな」
杏寿郎もまた顔や体に深い裂傷を負いながらも鬼舞辻を足止めするために日輪刀を奮っている。
「お約束は守りますので、叱らないでくださいね」
誰にも聞こえない言葉を言い終えると地面に腰を下ろし、10数本もの造血薬を傍らに置き治癒を発動させた。