第25章 決戦と喪失
派手な登場はこの場にいない元柱の影響か……一瞬皆の頭にそんな考えが過ぎったが、貴重な数秒を稼いでくれた更紗の行動を無にするなど愚の骨頂と言わんばかりに、それぞれが日輪刀を強く握り締める。
赫刀に変化させる事が可能な者は刃を赫く染め、バラバラな構えから一斉に技が発動された。
確実に鬼舞辻の体を貫いた。
全ての刃が鬼舞辻の体に大きな損傷を与えたのに、目に映ったのは自分の血や仲間の血に彩られた空だった。
「満足か?私をここまで追い詰めたことが」
死の宣告のように鬼舞辻の声と足音が地面へ転がる更紗に迫り寄り、やがて髪を掴まれて目線を無理矢理に合わせられる。
恐怖に染まると思われた更紗の表情はなぜか笑みを浮かべており、更に鬼舞辻の苛立ちを募らせた。
「私に固執してていいの?何のために私が柱になってここにいると思う?……影から皆さんを支えるため……って言っても1人が好きなあなたには分かんないよね」
対峙する度に苛立たせてくる更紗の口を永遠にきけぬようにしてやろうと首に手を掛けた……はずが左右から突如襲いかかってきた炎と風に阻まれ、あと少しで殺められたはずの少女は霞によって眩まされ遠くへと離された。