第25章 決戦と喪失
「自然に体調が戻るまで待っていたら間に合いません。造血薬の予備を私に下さい。お願いします」
今までに更紗が何本の造血薬を打ち込んだのか愈史郎は知らない。
だが事前に更紗へと渡していた数をある程度把握しているので、体に負担がかかっている本数を打ち込んだのは分かった。
「……今打つ分には死なないだろうが、今までと同じように次々と摂取すれば死ぬ可能性が高いぞ」
「死にません。それに今から鬼舞辻がどんどん弱っていきますよね?人間に戻す薬、老化を促進させる薬、分裂を阻止する薬……細胞破壊の薬。珠世様があの場で鬼舞辻と対峙していたのはこれらの薬を鬼舞辻の体内に入れる為じゃないですか?弱っていくところに全員で総攻撃すれば必ず夜明けまで足止め出来るんです」
更紗は共同研究でどんな薬を作っているのか把握していたものの、どのように鬼舞辻に摂取させるかは何度聞いても誰も教えてくれなかった。
しかし珠世が鬼舞辻と対峙している姿、そして吸収されかけていた姿を見てようやく分かったのだ。
珠世が身を呈して鬼舞辻の体内へと毒薬を注ぐ役目をかってでていたのだと。