第24章 凄惨と合流
それが鬼舞辻と闘っている者全員に降り注ぎ皮膚や体内を侵していた毒が中和されていき、皆の顔や動きに余裕が出てきた。
もちろん更紗のそのような行為は鬼舞辻の癪に障る。
しぶとくいつまでも自分に刃を向けてくる柱たちにも苛立ちを募らせるが、何より人間の癖にいとも簡単に自分の傷を癒し更には他人の傷まで……切り落とした四肢や切断した胴体までも再生させる更紗の存在は何より誰より疎ましいだろう。
「やはり貴様から殺してやる」
寒気のするほど冷たい視線を更紗のみに固定させ、鬼舞辻の周りを囲んでいる柱たちを触手で一斉に薙ぎ払って、怯むことなく日輪刀を構え続ける少女へその触手を集中させた。
だが更紗も簡単に殺られるわけにはいかない。
多くの人と未来の約束をした。
両親や槇寿郎、柱全員とも約束事を交わしている。
「何でも自分の思い通りになるなんて思わないで」
目くらまし程度にも役に立たないかもしれないと思いつつも鞄の中に大量に詰め込んでいた紙を両腕に抱え空に放つと、そのうちの1枚を掴み取って額に貼り付け姿を眩ませた。
そして空に放たれた紙の多くは鬼舞辻によって両断されてしまうが、攻撃を免れた紙は風に靡かれ辺り一面に散らばっていった。
柱たちの足元へと。